♪ 歯が無くなってしまった場合は、インプラント治療ができるような条件を除けば、義歯(入れ歯)で対応するしかない場合が多くあります。保険治療で普及していますので、簡単に考えられていることが多いのですが、そんなに簡単なことでは無いのです。義歯も義足や義肢・義眼などと同様に、立派な人工臓器です。
♪ 歯を失うのは、足や手や眼を失うのと同じくらい重い事実です。歯も足も失われてしまえば、再生しませんので、義足と入れ歯は本質的には同じものなのです。
足を失ったら義足を入れるしかありません。しかし義足を入れたからといって、すぐに歩けるようにはなりません。義足で歩くにはそのためのトレーニングが必要です。トレーニングを始めた当初は、足と義足が接しているところに痛みがでます。足と義足が擦れて炎症反応が起こり、血が滲む。その痛みに耐えながらトレーニングを続けていくと、やがて足と義足が接しているところの皮が厚くなり、痛みを感じないで歩けるようになります。けれども以前と同じようには歩けません。走ることもできません。
歯を失った時もこれと同じです。入れ歯に慣れ、うまく使えるようになっても、自分の歯で食べていた頃に戻れるわけではありません。歯に関わる機能は低下しますから、何かしらの不自由はつきまといます。歯を失うというのは、そういうことです。ですから、何か不自由があった時は、それを「あたり前のこと」として受け入れなければなりません。
入れ歯は天然の歯と比べ、噛む力が35%~40%ほどしかありません。
総入れ歯は噛む力が20%ほどしかありません。
入れ歯は人工臓器である。
不自由があった時は「あたり前のこと」として受け入れる。
どうぞ入れ歯とうまく付き合ってください。